児童ポルノがない世界を目指して

日本ユニセフ協会は5月27日、全国知事会や連合、日本赤十字社、日本PTA全国協議会はじめ、賛同の意思を示してくださった60を超える団体、企業、個人のみなさまの声とともに、政府の児童ポルノ排除対策ワーキングチームに対し、ブロッキング実施の早期実現に必要な措置を取ることなどを求めた緊急アピールを提出。同時に、児童ポルノを「見ない、買わない、持たない、作らせない」を合言葉に、早急な法改正などを求める国民運動の発足を発表しました。

「児童ポルノがない世界を目指して」緊急アピール

児童ポルノは、子どもの性的虐待の記録です。携帯やインターネットが普及しファイル共有ソフトが急速に発達した今、児童ポルノは、一瞬にして大量にコピーされ、世界中にばら撒かれています。児童ポルノの被害は撮影時に留まりません。ばら撒かれた映像を誰かが持っているかも知れない。見ているかも知れない。被害者は、こうした不安と恐怖に一生苦しめられます。

私たちは、児童ポルノの根絶のために、それぞれの立場で取り組んできました。しかし、日本国内だけをとっても、児童ポルノ事件の検挙数、ホットラインへの通報件数ともに急増を続けています。被害者の低年齢化も進んでいます。

こうした中、インターネット上の児童ポルノへのアクセスを遮断する「ブロッキング」の導入が、民間主導で検討されています。また、政府の犯罪対策閣僚会議の下に置かれた児童ポルノ排除対策ワーキングチームも、総合的な対策を打ち出そうとしています。私たちは、こうした機運を、児童ポルノの深刻化を食い止め、児童ポルノのない世界を実現してゆく分岐点にしなければならないと考えます。

児童ポルノの根絶には、特にインターネットやITに大きな影響力を持つ先進国が協調してリーダーシップを発揮しなければなりません。一つの国の対策の遅れは、その国の子どもたちのみならず、世界の子どもたちを児童ポルノの脅威に晒してしまうのです。 未来を担う大切な子どもたちを児童ポルノの被害から守るため、そして、被害を受けた子どもたちの深刻な現状を一日も早く改善するため、政府が民間セクターとの協調のもと、次のアクションを早急に実施することを求めます。

1 「児童ポルノ」−見ない、買わない、持たない、作らせない
国民一人ひとりに対し、児童ポルノの深刻さを理解し、児童ポルノを見たり、買ったり、持たないというメッセージを発信することを求めます。特に18歳未満の子どもを持つ保護者や学校関係者に対し、フィルタリングサービスなどを積極的に活用し、子どもたちが児童ポルノを誤って閲覧したり、自らや友人の裸体などをインターネット上に掲載したりすることがないよう注意を促すとともに、子どもたちが、携帯やインターネットの正しい利用方法を学べる機会を積極的に提供するよう求めます。
2 ブロッキングの早期実現
被害を受けた子どもたちにとって最も必要な支援の一つは、撮影された画像が人目に触れないようにすることです。ブロッキングの実施に向けた民間主導の取り組みを歓迎するとともに、政府に対し、子どもの権利保護の観点から、ブロッキングの導入に必要な支援を行うことを求めます。
3 被害を受けた子どもたちの保護や支援の早期確立
被害の予防とともに、被害を受けた子どもたちを早急に見つけ出し、子どもたち一人ひとりに応じた適切なケアを行うことができる体制の確立を求めます。
4 取締りの強化
児童ポルノを根絶するためには、警察が児童ポルノ犯罪を見逃すことなく、徹底して取締まることが不可欠です。特に、インターネットを利用した犯罪は悪質であり、警察による徹底した取締りを求めます。
5 法改正の早期実現
児童ポルノに対して厳しい規制を行っているG8はじめ他の先進国の現状に照らし合わせると、日本の現状は不十分と言わざるを得ません。「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正が急務であることは明らかです。児童ポルノの根絶を最優先とした法改正が早期に実現されることを求めます。

2010年5月27日
財団法人 日本ユニセフ協会

緊急アピール賛同団体

  • 6月22日現在(順不同)
  • 全国知事会
  • 日本赤十字社
  • 日本労働組合総連合会
  • 日本小児科学会
  • 日本PTA全国協議会
  • 日本教育会
  • 全国連合小学校長会
  • 日本私立小学校連合会
  • 全国国公立幼稚園長会
  • 全日本中学校長会
  • 全国高等学校長協会
  • 全国特別支援教育推進連盟
  • 全国公立小中学校事務職員研究会
  • 全国学校栄養士協議会
  • 日本教職員組合
  • 全国社会福祉協議会
  • 東京都社会福祉協議会
  • 全国地域婦人団体連絡協議会
  • 恩賜財団母子愛育会
  • 全国婦人保護施設等連絡協議会
  • エイズ予防財団
  • 日本臨床心理士会
  • 世界宗教者平和会議 日本委員会
  • ガールスカウト日本連盟
  • 日本ユネスコ協会連盟
  • 日本YMCA同盟
  • 日本YWCA
  • スコーレ家庭教育振興協会
  • アジアの女性と子どもネットワーク
  • セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
  • 日本善行会
  • 人権教育啓発推進センター
  • 東京都小学校PTA協議会
  • 東京都公立中学校PTA協議会
  • 青少年問題研究会
  • 日本フォスター・プラン協会(プラン・ジャパン)
  • インターネット協会
  • 日本体育協会
  • 日本健康スポーツ連盟
  • SYD青年部(財団法人 修養団)
  • CAPセンター・JAPAN
  • あいちCAP
  • CAPあい
  • CAPきらきら
  • CAPくれよん
  • CAP倶楽部
  • CAP西大和
  • CAP東埼玉
  • toddleわかやま
  • とよはしCAP
  • 世界の子どもにワクチンを 日本委員会
  • ポラリスプロジェクト日本事務所
  • 暴力防止情報スペース・APIS
  • フェミニストカウンセリング東京
  • 日本子どもの虐待防止民間ネットワーク
  • 子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク
  • 子どもの虐待防止ネット
  • 子ども虐待防止みやざきの会
  • 子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ
  • 子どもの虐待防止ネット・にいがた
  • 子どもの虐待防止ネットワーク・あいち
  • 子ども虐待ホットライン広島
  • 国際子ども権利センター
  • 青い空−子ども・人権・非暴力
  • 希望の車いす
  • 西淀川子どもセンター
  • 日本ガーディアン・エンジェルス
  • エンパワメントかながわ
  • 全国女性シェルターネット
  • 横浜市男女共同参画推進協会
  • 子どもを性被害から守るクローバーキッズ協会
  • 児童ポルノを許さない社会を実現するための弁護士フォーラム
  • CSECジャパンフォーラム実行委員会
  • ポルノ・買春問題研究会
  • “共生社会をつくる”セクシャル・マイノリティ支援全国ネットワーク
  • I女性会議
  • ECPAT/ストップ子ども買春の会
  • ヤフー株式会社
  • 株式会社川崎フロンターレ
  • ウエハラ税理士事務所
  • 坂東眞理子(昭和女子大学 学長)
  • 石川文洋(写真家)
  • 荒木とよひさ(作詞家)
  • 湯川れい子(作詞家)
  • マット安川(株式会社オフィスヤスカワ代表取締役)
  • すがはらやすのり(歌手)
  • 宗由貴(一般社団法人 SHORINJI KEMPO UNITY 代表理事)